多くのご相談者様と接していると、ある共通のキーワードがいくつか見つかります。その一つに、「自信がない」「自信が持てない」というものがあります。当然、悩み苦しんでいる方は、物事を否定的、消極的に捉えてしまいがちなので、これまで行ってきた素晴らしい経験や成功体験なども忘れてしまう。もしくは、薄らいでしまう。あるいは、ともすれば、今の苦しみから逃れたくて、全てを捨て、一から再スタートのつもりで方法論をあれこれ探り、結果見つからずに、余計に苦悩し焦り、更に自分を追い込み傷つけてしまう事にもなるケースが非常に多く見受けられます。
その、更に自分を追い込み傷つけてしまうということから、「自信がない」「自信が持てない」といった状態に (更に) なってしまうこととなります。では、「自信」とは、そもそもどういった意味でしょうか?辞書を引いてみると、自信とは、「自分で自分の能力や価値などを信じること。」「自分の考え方や行動が正しいと信じて疑わないこと。」とあります。自分の考え方や行動が正しいと信じることが自信であるならば、自分の考え方や行動が正しくないと信じていることも実は「自信」と言えます。又、自分で自分の能力や価値などを信じることが自信ならば、自分で自分の能力や価値などを信じないことも自信です。言葉遊びのようですが、ここに真理が隠されています。そして、「自信がない」「自信が持てない」の深層心理には、「他者と比較して」自信がない・自信が持てないという前提が必ず潜んでいます。この、「他者と比較して」というところもポイントとなります。
アドラー心理学、別名 個人心理学なんて言いますが、この創始者であり心理学者で医師でもあるアルフレッド・アドラーはこう言っています。
「あらゆる悩みは対人関係の悩みである。」と。
例えば、お金がないから自信がない。地位がないから自信がない。学歴がないから自信がない。など全て他者と比較しない人は「自信がない」といった概念にはならず、確かにお金はないけど、健康である。確かに地位はないけど、毎日楽しい。確かに学歴はないけど、計算は早い。といったように、「自信」といった概念には振り回わされません。逆に、ありのままの自分自身を受け入れ、今、現在もたらされている自分自身の状況を享受する。逆に言うと、これも「自信」なんです。「自分を信じて疑わないこと」なんです。ですから「自信」とは、「ある、なし」ではなく「持つ、持たない」とした方が私は良いと思います。
「ある、なし」は受身的、「持つ、持たない」は能動的だからです。
心理カウンセリングでは、ご相談者様が抱いている「自信」という概念がどういうものなのかを明確化し、そのご自身が持っている「自信」という概念が、ご自分自身を苦しめているならば、苦しまない「自信」、自分自身が納得し、楽に生きて行ける「自信」などにご一緒に修整していきます。ここに、能動的に「自信を持つ」という経験値が生まれ、真の意味の「自分を信じる」というプラスの「自信」に繋がっていきます。又、補足として、前述の「他者と比較して」という部分についてですが、他者との関係性は、常に「横」軸で捉えるように意識してください。往々にして、「縦」軸で捉えることが他者との比較を生み、悩みの原因ともなります。仕事などは縦社会ですから上下関係は確かに「縦」ですが、それは表面上の状況に過ぎず、根本的、もっと言えば、精神性の軸では「横」である。この発想が身についてくると、徐々に悩みは少なくなっていきますし軽減されていきます。上司・部下、ご夫婦、カップル、親子。更に言うならば、ペットのわんちゃん、ネコちゃん。地球上の全生物。全ての物体。
これら全て「横」軸の関係性。
これらを意識していくと生まれてくるものは生あるものや形あるものに対する純粋な
「感謝」です。
そう、「ありがとう」という言葉です。
共に、「ありがとう」を沢山言える素敵な人生を歩んで行きましょうよ。